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裁判に出てくる「信頼関係」

2010年12月22日


本日のデイリーコラムは【裁判に出てくる「信頼関係」】です。

判例理論としての「信頼関係」

ビジネスから私的な人間関係まで広く使われる「信頼関係」という言葉ですが、法律の条文にはなくとも、確固たる判例理論を形成するキーワードとなっております。

「信頼関係」理論の始まり

これが判例理論として初めて登場したのが、賃貸借契約における無断転貸・賃借権の譲渡に対する解除の事例です。
民法は、借主が貸主に無断で第三者に転貸、あるいは、賃借権を譲渡することは、契約で特にこれを認める条項がない限り、契約違反になり、解除事由になると定めております。
しかし、一口に転貸・譲渡と言っても、例えば、親族や税金対策上設立した会社に対してのもので実体に変動がない場合、違反の程度が軽微で営利性がない場合など、「ダメなものはダメだから」解除では余りに酷なこともあります。
そこで、裁判所は、賃貸借が長期的・継続的な契約関係にあって、当事者間の信頼関係で成り立っているのだから、形式的には契約違反であっても、信頼関係を破壊するようなものでなければ、解除を認めないというわけです。

賃貸借契約の解除の可否を決める理論に

この理論は、賃料の不払いにも使われるようになります。契約上賃料不払いがあった場合に貸主が催告なしに解除できるという条項が広く見られます。この条項について、裁判所は、賃料不払い即解除とするのでなく、不払いの程度、回数等から、それが当事者間の信頼関係を破壊する程のものであることで初めて解除を認めるとしました。
同じく、契約上定められた用法に対する違反や借地契約における無断増改築禁止特約の違反についても、その態様や貸主に対する影響に照らし、信頼関係を破壊するようなものに限って、解除を認めるものとされています。

法律と現実を架橋するキーワード

このように、裁判所は、法律と現実の間にある狭間の部分を「信頼関係」という法律の条文にないキーワードで架橋しているという訳です。

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